任意後見制度の概略
任意後見制度とは、どのような制度ですか
任意後見制度とは、「判断能力のあるうちに、判断能力が衰えた後のことを信頼できる人にあらかじめ頼んでおく」ことができる制度です。似たような法律に、民法の任意代理の規定がありますが、任意後見契約は必ず公正証書で締結する必要があり、法務局で後見の登記をすることで成立します。
任意後見契約は、本人(委任者)が元気なうちに、自らの判断能力が不十分な状況となったときにおける必要な代理権を、あらかじめ信頼できる者との間で公正証書で設定し(上記@)、その後、本人の判断能力が低下したときに、家庭裁判所へ後見監督人選任の申し立てを行い(上記A)、任意後見監督人が選任される(上記B)ことで契約の効力が発生し、後見監督人による監督・指導の下、任意後見人の事務がスタートします(上記C)。
任意後見契約でできること、できないこと
任意後見契約は、本人の判断能力が不十分な状況となったときに効力が発生するため、それ以前の身上監護や財産管理には、利用できません。
また、任意後見契約は本人の死亡と同時に終了します。
したがって、任意後見契約は、以下の見守り・財産管理契約や死後事務委任契約等と一緒に締結することが一般的です。
また、任意後見契約は本人の死亡と同時に終了します。
したがって、任意後見契約は、以下の見守り・財産管理契約や死後事務委任契約等と一緒に締結することが一般的です。
- 見守り、財産管理契約任意後見契約が発効するまでの間、本人と受任者(任意後見人候補者)が定期的に面談等することでお互いの信頼関係を構築し(見守り契約)、また、本人の状態に応じて、任意後見契約が発効する前段階で財産の管理を行うための契約(委任契約)。
- 遺言公正証書任意後見契約では、死後の財産承継を決めることはできないため、任意後見契約の締結と合わせて公正証書で、死亡後の財産の帰属先などをあらかじめ定めた遺言書を作成しておくことをおすすめします。
- 死後事務委任契約任意後見契約の効力は本人の死亡によって消滅するため、実務では、本人の死後の事務(未精算の支払いや、葬儀・埋葬等の事務)を誰が、どのように行うのかが問題となります。特に、身よりのない方や相続人が協力的でない場合などは、任意後見契約とは別に、死後事務委任契約をすることで、本人の望む死後事務を行うことが可能となります。
ライフステージに応じた高齢者支援のあり方
高齢者の財産管理において利用できる各制度には、一長一短があるため、これらの制度を組み合わせ、その人に合ったオーダーメイドの財産管理設計を検討していくことが重要です。上記図は全ての制度を当てはめた一例ですが、実際は、このうちの必要な制度を選択し活用していきます。