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「不動産売買契約における現状有姿と瑕疵担保責任」
主に中古不動産の売買において,「現状有姿」という言葉が使われていることがあります。これは,売買契約の締結時から,実際の引渡し時までの間(これは数週間から数ヶ月に及ぶことがあります。)に,対象不動産に新たな補修箇所が生じるなど目的物の現状に変化があったとしても,売主は,そのまま引き渡せば足りるという意味です。売主は引渡しにあたって,契約締結時の状態に復元する必要はありません。特に築年数が相当経過している建物などは,買主がそのことを十分認識した上で買い受けることが通常であり,これが中古不動産の売買でよく使われている一般的な現状有姿の意味とされています。
ところで,これと似て非なるものに「瑕疵担保責任」という言葉があります。これは,契約締結時すでに存在していた瑕疵(欠陥)についての問題です。たとえば,契約締結時には気がつかなかった建物の痛みやシロアリ被害など,いずれも契約締結時にすでに存在していた状況が問題となる場合は、現状有姿の問題ではなく,瑕疵担保責任の問題となってきます。
売主がこの瑕疵担保責任を回避したいということであれば,契約書に売主は「現状有姿で引き渡す」と書くだけでは足りず,「瑕疵担保責任を負わない(免責される)」ことを明記する必要があります。瑕疵担保責任が免責されると,目的物に瑕疵があっても買主は,売主に責任を追及することができなくなります(例外:民法§572条本文、消費者契約法§8-1-D)。
※売買契約における瑕疵担保責任とは,目的物に瑕疵(欠陥)があった場合に売主に課せられる責任であり,原則として,以下の特徴があります。
a.特定物について
b.隠れた瑕疵があり
c.買主は,瑕疵を知ったときから一年以内に
d.契約を解除(※)又は損害賠償請求することができる
(※)契約の目的を達成することができない場合に限る。
なお,特則として,商人間売買の特則(商法526条)があります。
以上,不動産売買でよく質問のある「現状有姿」と「瑕疵担保責任」の違いについて簡単にまとめてみました。
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