相続・遺言・遺産承継
遺産分割
テーマ
「代償分割によって単独相続した不動産を売却した場合の代償金の取得費算入について」
(判例紹介)
平成6年9月13日 最高裁判所第三小法廷 判決
< 判示事項>
他の相続人に代償金を交付して単独で相続した不動産を売却した場合の譲渡所得の計算上右代償金を取得費に算入することの可否
<裁判要旨>
相続人の一人が遺産分割協議に従い他の相続人に対し代償金を交付して単独で相続した不動産を売却した場合、譲渡所得の計算上、右代償金を右不動産の取得費に算入することはできない。
コメント
遺産の分割方法は、現物分割が原則ですが、特別な事由があるときなど実務では、現物分割に代え、たとえば、一方の相続人が不動産を単独で取得する代わりに、他方の相続人に対し債務(主に金銭債務)を負担するといった方法が認められています。このような遺産分割の方法を「代償分割」といいます。
上記の判例では、代償分割をして不動産を単独で相続したXが、当該不動産を第三者に売却し、譲渡所得の申告に際して、相続するために他の相続人に対し支払った代償金及び銀行からの借入れにかかる利息を、計算上の「取得費」として算出したところ、課税庁より、取得費として算入することはできないとして最高裁まで争われた事例です。
最高裁では、「相続人の一人が遺産分割協議に従い、他の相続人に対し代償としての金銭を交付して遺産全部を自己の所有にした場合は、結局、同人が右遺産を相続開始の時から単独で相続したことになるのであり、共有の遺産につき、他の相続人である共有者からその共有持分の譲渡を受けてこれを取得したことになるものではない。」とした上で、Xは、相続前から引き続き所有していたものとして取得費を考えることになるから、Xが他の相続人に支払った代償金及び銀行から借り入れた借入金の利息相当額を取取得費に算入することはできないと判示しました。
参考条文として、民法909条
(遺産の分割の効力)
第909条
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
以上です。
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「代償分割によって単独相続した不動産を売却した場合の代償金の取得費算入について」
(判例紹介)
平成6年9月13日 最高裁判所第三小法廷 判決
< 判示事項>
他の相続人に代償金を交付して単独で相続した不動産を売却した場合の譲渡所得の計算上右代償金を取得費に算入することの可否
<裁判要旨>
相続人の一人が遺産分割協議に従い他の相続人に対し代償金を交付して単独で相続した不動産を売却した場合、譲渡所得の計算上、右代償金を右不動産の取得費に算入することはできない。
コメント
遺産の分割方法は、現物分割が原則ですが、特別な事由があるときなど実務では、現物分割に代え、たとえば、一方の相続人が不動産を単独で取得する代わりに、他方の相続人に対し債務(主に金銭債務)を負担するといった方法が認められています。このような遺産分割の方法を「代償分割」といいます。
上記の判例では、代償分割をして不動産を単独で相続したXが、当該不動産を第三者に売却し、譲渡所得の申告に際して、相続するために他の相続人に対し支払った代償金及び銀行からの借入れにかかる利息を、計算上の「取得費」として算出したところ、課税庁より、取得費として算入することはできないとして最高裁まで争われた事例です。
最高裁では、「相続人の一人が遺産分割協議に従い、他の相続人に対し代償としての金銭を交付して遺産全部を自己の所有にした場合は、結局、同人が右遺産を相続開始の時から単独で相続したことになるのであり、共有の遺産につき、他の相続人である共有者からその共有持分の譲渡を受けてこれを取得したことになるものではない。」とした上で、Xは、相続前から引き続き所有していたものとして取得費を考えることになるから、Xが他の相続人に支払った代償金及び銀行から借り入れた借入金の利息相当額を取取得費に算入することはできないと判示しました。
参考条文として、民法909条
(遺産の分割の効力)
第909条
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
以上です。