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相続・遺言・遺産承継

遺言と遺留分の関係

タイトル:

配偶者へ全財産を相続させるとした遺言作成の注意点


記事の概要: 配偶者への全財産を相続させるとした遺言の作成にあたっては、遺留分の問題や生前贈与が遺留分算定の基礎となる財産に含まれる点に注意が必要です。遺留分を算定する際には、遺言者の死亡時の財産に加えて、生前に贈与した財産の価額も考慮し、債務を差し引く必要があります。この記事では、遺言書を作成する際の重要なポイントを解説するとともに、遺留分算定のための計算方法、具体的な事例への当てはめを検討します。

この記事のポイントは、2つ
・子のいる遺言者が、遺言で配偶者に全ての財産を相続させるとした場合、子は遺留分と呼ばれる権利を持ちます。また、子がいなくても、遺言者が死亡したときに遺言者の親(※直系尊属)が存命の場合は、親に遺留分の権利が生じます。
・遺留分算定の基礎となる財産には、死亡時の財産だけでなく、一定期間に生前贈与した自宅等も含まれます。

1.遺留分を理解する

 日本の民法における遺留分は、故人が遺言によって財産の分配を行った場合でも、一定の親族が最低限を受け取ることが保証される財産の割合のことを指します。遺留分の制度は、故人の最終意思を尊重する一方で、生計を共にしていた家族が経済的に困窮することがないように保護することを目的としており、遺言が存在する状況下で検討されるべき法的制度ともいえます。

 遺留分を有する者は、主に配偶者、子、および故人の親です。これらの者は、故人の財産から一定割合を最低限受け取る権利があります。具体的には、子どもや配偶者には、遺留分を算定するための財産の価額の2分の1(直系尊属には、3分の1)が遺留分として保証されます。相続人が数人ある場合には、これに各自の法定相続分等を乗じた割合とします【民法1042条1項・2項】。

たとえば、配偶者と子が二人いる場合の子一人の遺留分は、
【遺留分を算定するための財産の価額】 × 8分の1(※1/2(同条1項)×1/4(同条2項)=1/8)となります。遺留分を侵害している遺言については、受遺者は、遺留分権利者からの請求に対し、金銭によって保証部分(遺留分相当額)を支払う必要があります。

2.遺留分算定の基礎となる財産の範囲を理解する

 

妻が夫の死亡10年以内に自宅やその他の資産を生前贈与として受けていた場合、その財産は相続開始時の評価で遺留分の算定対象になるため、注意が必要です。

 遺留分算定における財産の価額は、相続開始時点で遺言者が有していた財産の価額に、生前に贈与した財産の価額を加算し、さらに遺言者の債務を控除したとなります。生前贈与財産の加算対象となるのは、原則として相続開始前一年間に贈与された財産に限られますが、相続人への贈与に関しては、過去10年間の贈与が対象 になります。
 例えば、ある夫が妻に全財産を相続させる遺言を準備した場合、夫の死亡時の財産が預貯金500万円だけであっても、子の遺留分の算定にあたっては、単純に500万円の4分の1とは限りません。このような処理(持戻し計算)を行うことで、贈与を受けた配偶者(相続人)の最終的な取得額は、以下のようになります。


2018年: 夫から妻へ自宅を贈与。
2024年: 夫が死亡。この時、夫の遺産は預貯金1,000万円であり、預貯金は遺言により妻へ相続。夫の債務はなしとし、自宅の評価は2,000万円。
この場合、夫に子がいれば、子は(2,000万円 + 1,000万円)の4分の1、すなわち750万円相当の遺留分を有します。また、夫に子がいなくとも、夫の死亡時に夫の直系尊属(親)が存命であれば、親には(2,000万円 + 1,000万円)の6分の1、つまり500万円相当の遺留分が与えられることになります。いずれのケースも、遺留分を行使された場合、預貯金1,000万円に遺留分割合を乗じた額とはならないことに注意が必要です。

3.遺言と遺留分のまとめ

 遺言を作る際、その内容が遺留分を持つ相続人にどのくらいの影響を与えるのかが気になるかもしれません。

遺留分の計算では、相続開始時に存在している財産だけでなく、特定の期間内に贈与をした財産が考慮されることがあります。

このため、遺言で遺産を受け取る人が、遺留分の主張してくる相続人に対し、想定していた額以上の金銭を支払う必要が出てくることもありますので、ご留意ください。

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ご注意
 当文書は、作成時点で得られた情報に基づき、正確さを期していますが、法律の改正等により、内容の一部に変更等が生じる可能性がございます。なお、本事例に関するお問い合わせやご質問については回答いたしかねますのでご了承ください。

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