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相続・遺言・遺産承継

遺産分割と相続登記

テーマ

法定相続登記後に持分の一部を処分したあとの遺産分割



質問)
 先日、父が亡くなり、父が単独で所有していたS土地の2分の1を、T不動産屋から至急売って欲しいといわれました。そして言われるままに、法定相続登記をし、所有権の一部移転の登記を済ませました。このあと、相続人ABCが共有で持っている残りの持分2分の1について、遺産分割協議をすることはできますか。

〜S土地の登記記録〜
甲区1番       所有権移転      所有者  某 
甲区2番       所有権移転      原因 平成○年○月○日 相続 
                      共有者 持分3分の1 A 
                            3分の1 B
                            3分の1 C
甲区3番       A持分8分の2、B持分8分の1、C持分8分の1の移転
                      原因 平成○年○月○日 売買 
                      共有者 持分2分の1 株式会社T
                            

回答)
 2分1の持分を対象とした遺産分割協議をすることは可能であり、登記原因を「年月日遺産分割」として、協議内容に基づく所有権の移転の登記を申請することができます。


解説)
 登記上の所有者が死亡した場合は、相続を登記原因とし、その登記名義を相続人へ変更するための所有権の移転の登記を申請する必要があります。
 

不動産を相続人全員の共有とする法定相続の登記をした場合、当該不動産は遺産共有の状態にあるため、これを解消するには、相続人全員で遺産の分割を行う必要があります。

ただし、共同相続人の一部から遺産を構成する特定不動産の共有持分権を譲り受けた第三者がいる場合に、この共有関係を解消するためにとるべき手続は、遺産分割ではなく、共有物分割(民法§256)によるべきといった趣旨の判例があります(最高裁判所第二小法廷昭和50年11月7日判決) 。

 ところで、本件では、S不動産全体の共有状態の解消ではなく、相続人が共有している持分の解消を求めているのであり、その場合は、相続人間で遺産分割協議をし、それに基づいた登記を申請することは可能と考えます。
 仮に、S不動産の持分の全部をAが取得するといった内容の遺産分割協議をした場合の登記手続は、登記の目的を「B及びC持分全部移転」、登記原因を「平成○年○月○日遺産分割」とし、B及びCの持分の全部をAへ移転する登記を申請することになります。

以上です。


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