建物増築登記
建物増築登記手続に準備する書類
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質問
今から20年以上前に自宅を増築工事しましたが、今日まで増築の登記はしていません。今般、銀行の融資を受ける関係で、自宅の増築登記をする必要が生じましたが、当時の増築工事の関係資料は紛失して一切ありません。これでも登記は可能でしょうか?
回答及び解説
増築の事実があり、また、増築部分が登記できるもので、かつ増築部分の所有者が判定できれば登記は可能と考えます。
登記されている建物について改造工事を行い、構造や階数、床面積が変更された場合、建物所有者は、工事後一ヶ月以内に建物表題部の変更登記を申請しなければいけません。
建物を増築して床面積が増加すれば、建物床面積の変更登記をする必要がありますが、増築による建物床面積の変更登記には、増築部分の所有権を証する書面をして、以下の書類(所有権証明書)を登記所へ提出する必要があります。
@確認済証(なお、検査済証がある場合はこれも併せて添付する)
A工事人からの工事完了引渡証明書
(「自社施工」の場合は、下請人工事人の証明書または材料購入の領収証等)
B工事請負契約書及び工事代金の領収証
C固定資産税台帳登録事項証明書
(住所の記載がない場合は納税通知書又は納付証明書等)
Dその他申請人の所有権の取得を証するに足る書面
(具体的には、火災保険加入証明書、隣接所有者の証明書、相続人の遺産分割協議請求書、申請人からの上申書等。)
実務では、上記所有権証明書のうち、二点以上の提出を求められますが、たとえば、@ABの書類が揃っていれば、所有権証明書として特段問題になるケースは少ないと思います。逆に、質問のケースのように、@ABの書類が全てない(@については、そもそも確認を取っていないケース等。)となると、増築部分の所有権の帰属をどのように証明するか、慎重に検討する必要があります。
実務で問題となるケースは、増築の範囲が比較的小規模で、固定資産税台帳登録事項証明書に増築の事実が記録されていないケースです。役所が増築の事実を見落としている可能性が考えられますが、この場合、従前なら、申請人からの上申書のみで登記を受理してくれていたこともありましたが、現在の多くの登記所の対応は、所有権証明書を上申書のみとする扱いは不適切として受理しない傾向があり、悩ましいところです。
この場合、可能であれば、まず、管轄の役所に増築の事実を伝え、台帳に増築後の床面積を反映させてもらい(早ければ一ヶ月程度で処理してくれます。)、増築の記載のある固定資産税台帳登録事項証明書と上申書の二点を所有権証明書とするやり方が考えられます。
ただ、この場合、上申書の内容や調査報告書の内容に関して、増築の経緯や増築部分の所有権の帰属の判定等を丁寧に記載して必要があります。また、上申書に書かれた内容を裏付け出来るような資料があれば、それも併せて添付することが好ましいと考えます。
以上です。
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参考
民法
(不動産の付合)
第242条 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。
(例)
A所有の建物にB所有の物が付合したときは、区分所有権が成立しない限り、原則としてBの所有権は消滅します。
ただし、付合物の所有権を定めるこの規定は任意規定と解されているので、添付当事者AB間で、任意に添付物の所有権を変更することができます。
(参考文献 「不動産登記申請MEMO」 著 青山修)
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増築関係の書類を紛失してしまった場合の増築登記と所有権証明情報について
質問
今から20年以上前に自宅を増築工事しましたが、今日まで増築の登記はしていません。今般、銀行の融資を受ける関係で、自宅の増築登記をする必要が生じましたが、当時の増築工事の関係資料は紛失して一切ありません。これでも登記は可能でしょうか?
回答及び解説
増築の事実があり、また、増築部分が登記できるもので、かつ増築部分の所有者が判定できれば登記は可能と考えます。
登記されている建物について改造工事を行い、構造や階数、床面積が変更された場合、建物所有者は、工事後一ヶ月以内に建物表題部の変更登記を申請しなければいけません。
建物を増築して床面積が増加すれば、建物床面積の変更登記をする必要がありますが、増築による建物床面積の変更登記には、増築部分の所有権を証する書面をして、以下の書類(所有権証明書)を登記所へ提出する必要があります。
@確認済証(なお、検査済証がある場合はこれも併せて添付する)
A工事人からの工事完了引渡証明書
(「自社施工」の場合は、下請人工事人の証明書または材料購入の領収証等)
B工事請負契約書及び工事代金の領収証
C固定資産税台帳登録事項証明書
(住所の記載がない場合は納税通知書又は納付証明書等)
Dその他申請人の所有権の取得を証するに足る書面
(具体的には、火災保険加入証明書、隣接所有者の証明書、相続人の遺産分割協議請求書、申請人からの上申書等。)
実務では、上記所有権証明書のうち、二点以上の提出を求められますが、たとえば、@ABの書類が揃っていれば、所有権証明書として特段問題になるケースは少ないと思います。逆に、質問のケースのように、@ABの書類が全てない(@については、そもそも確認を取っていないケース等。)となると、増築部分の所有権の帰属をどのように証明するか、慎重に検討する必要があります。
実務で問題となるケースは、増築の範囲が比較的小規模で、固定資産税台帳登録事項証明書に増築の事実が記録されていないケースです。役所が増築の事実を見落としている可能性が考えられますが、この場合、従前なら、申請人からの上申書のみで登記を受理してくれていたこともありましたが、現在の多くの登記所の対応は、所有権証明書を上申書のみとする扱いは不適切として受理しない傾向があり、悩ましいところです。
この場合、可能であれば、まず、管轄の役所に増築の事実を伝え、台帳に増築後の床面積を反映させてもらい(早ければ一ヶ月程度で処理してくれます。)、増築の記載のある固定資産税台帳登録事項証明書と上申書の二点を所有権証明書とするやり方が考えられます。
ただ、この場合、上申書の内容や調査報告書の内容に関して、増築の経緯や増築部分の所有権の帰属の判定等を丁寧に記載して必要があります。また、上申書に書かれた内容を裏付け出来るような資料があれば、それも併せて添付することが好ましいと考えます。
以上です。
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参考
民法
(不動産の付合)
第242条 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。
(例)
A所有の建物にB所有の物が付合したときは、区分所有権が成立しない限り、原則としてBの所有権は消滅します。
ただし、付合物の所有権を定めるこの規定は任意規定と解されているので、添付当事者AB間で、任意に添付物の所有権を変更することができます。
(参考文献 「不動産登記申請MEMO」 著 青山修)
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