不動産登記/建物新築・増築、土地地目変更
建物表題登記
建物表題登記の所有者は誰か
テーマ
「確認申請に記載されている建築主以外の者が建物表題登記を申請する場合の考え方」
建物を新築したときは、所有者は一ヶ月以内に建物の表題登記を申請しなければならず、この申請には申請人の所有権を証する書面(以下、「所有権証明書」)を二点以上、提供する必要があります。 所有権証明書については、不動産登記準則第87条第一項に例示的に規定されていますが、所有権証明書の一つである「建築基準法第6条の確認通知書」に記載される建築主と異なる人物が建物所有者である場合、建物表題登記申請にあたり、どのように考えればいいのでしょうか。
たとえば、当初、Aを建築主として確認申請をしたが、登記の申請までの間に、Aが当該建物をBへ譲渡したような場合は、AからBへの譲渡証明書(Aの印鑑証明書付)を所有権証明書の一部として提供することで、Bを所有者とする建物表題登記を申請することができます。
ただし、譲渡(売買、贈与等)をした事実がないにも関わらず、登記申請のために譲渡証明書を作成し提供することは、実体面からも税務面からも問題があります。
これに関して、実務では、以下の事例を目にします。
@確認申請の建築主が父親となっているが、実際に建物資金を拠出したのは息子であるケース
A確認申請の建築主が法人であり、実際に建物資金を拠出したのは当該法人の代表取締役個人であるケース
B確認申請の建築主がAとなっているが、建物資金を拠出したのはBであり、AとBとの間に親族等の関連性はないといったケース
この場合、登記申請の時点で建築主の名義を変更・訂正するといった方法は、現実問題として困難です。したがって、建物表題登記申請にあたっては、建築主となった人物と、実際に建築資金を拠出した人物との関連性等に着目し、@Aのケースなら、建築主からの事情を説明する上申書、当事者の関連性のわかる公的資料、申請人が代金を拠出したことのわかる資料等を提供することで、建物資金を拠出した者を所有者とする建物表題登記の申請は認められるものと考えられます。他方、Bについては、@Aと事情が異なるため、A名義で確認申請を取得した経緯について、さらなる事情説明が必要になります。
以上です。
※上記は一例であり、実際の事例に関しては必ず管轄の登記所へ御相談ください。
参考 不動産登記準則
(所有権を証する情報等)
第87条
1. 建物の表題登記の申請をする場合における表題部所有者となる者の所有権を証する情報は,建築基準法(昭和25年法律第201号)第6条の確認及び同法第7条の検査のあったことを証する情報,建築請負人又は敷地所有者の証明情報,国有建物の払下げの契約に係る情報,固定資産税の納付証明に係る情報その他申請人の所有権の取得を証するに足る情報とする。
2.省略