不動産登記/建物新築・増築、土地地目変更
区分建物の登記
テーマ「二世帯住宅を区分建物として登記した場合の敷地権について」
以前、ある相談者から、二世帯住宅を建築したので、区分建物として建物表題登記をしたいとの相談を受けました。
ちょっと専門的な話になりますが、まず、「区分建物」とは、一棟の建物の一部分を構成するもので、構造上の独立性(壁、床などによって区分けされているもの)と、利用上の独立性(当該部分のみで独立した用途性が認められること)を有し、独立して所有権等の目的となるものをいいます(建物の区分所有等に関する法律第1条)。わかりやすい事例では、マンションの各部屋(専有部分)があります。不動産登記において、マンションの専有部分は、一個の独立した建物(区分建物)として登記することが一般的です。
また、区分建物の所有者が区分建物を所有するために建物の敷地について有する権利を「敷地利用権」といいますが、この敷地利用権のうち、一定の要件を満たしたものが不動産登記上の「敷地権」として、区分建物の登記記録中表題部欄に登記されます。この場合、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができません(※)。専有部分を処分する際は、必ず敷地利用権とセットで行う必要があります(分離処分禁止)。
マンションなどの場合はその方が取引上、または登記の公示上、好都合なのかもしれませんが、個人の所有する土地に建てた二世帯住宅で分離処分禁止の規定が適用されると、なにかと不便なこともあります。この場合は、区分建物表題登記の際に、分離処分を可能とする規約証明書を添付すれば、敷地権の登記はされず、必要に応じて、区分建物と敷地利用権とを分離して処分することができます。
なお、このような規約証明書は、区分所有者が実印を押して印鑑証明書を備えるのが一般的ですが、次の場合は、必ず公正証書で作成することが区分所有法上、義務づけられています。
(公正証書による規約の設定)
第32条 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第4条第2項(規約共用部分の定め)、第5条第1項(規約敷地の定め)並びに第22条第1項ただし書(分離処分可能規約)及び第二項ただし書(敷地利用権の割合)の規約を設定することができる。
これは、マンションなどの分譲業者が分譲前に公正証書によって定めることで、その内容を明確にし、購入する区分所有者との間に紛争を残さないためとされています。
関連記事
・〜小規模宅地の特例が使えない?〜区分建物として登記した二世帯住宅を変更する方法
以上です。
===================================
※建物の区分所有等に関する法律
(分離処分の禁止)
第22条 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
(2項以下省略)
※敷地権とは、登記された敷地利用権(所有権、地上権又は賃借権)のうち、区分所有法第22条本文の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することのできないものをいいます。(不動産登記法第44条第1項第9号参照)
===================================
<追記>
余談ですが、専有部分の敷地権割合は、原則、床面積割合で決まりますが、マンションの場合は、規約で別段の定めをすることが多いです。具体的には、広告等に記載されている販売面積(※)に応じて、公正証書で部屋ごとの敷地権割合を定めます。そのほか、公正証書では、規約敷地や規約共用部分なども併せて定めることが一般的です。
なお、原則どおり床面積割合で敷地権割合を定めたあと、床面積に誤りを発見したため錯誤で更正する際、敷地権割合にも影響が生じることになります。この場合、抵当権等があると、対処が困難なことも想定されますので注意が必要です。
※マンションの広告などに記載されている販売面積は、壁芯で計算されているため、登記の床面積とは異なることが多いです。
不動産登記(売買、抵当権抹消、建物新築、増築)・相続/遺言・会社設立・成年後見・<横浜市戸塚区・泉区>登記のことなら横浜の司法書士安西総合事務所にお任せ下さい。
以前、ある相談者から、二世帯住宅を建築したので、区分建物として建物表題登記をしたいとの相談を受けました。
ちょっと専門的な話になりますが、まず、「区分建物」とは、一棟の建物の一部分を構成するもので、構造上の独立性(壁、床などによって区分けされているもの)と、利用上の独立性(当該部分のみで独立した用途性が認められること)を有し、独立して所有権等の目的となるものをいいます(建物の区分所有等に関する法律第1条)。わかりやすい事例では、マンションの各部屋(専有部分)があります。不動産登記において、マンションの専有部分は、一個の独立した建物(区分建物)として登記することが一般的です。
また、区分建物の所有者が区分建物を所有するために建物の敷地について有する権利を「敷地利用権」といいますが、この敷地利用権のうち、一定の要件を満たしたものが不動産登記上の「敷地権」として、区分建物の登記記録中表題部欄に登記されます。この場合、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができません(※)。専有部分を処分する際は、必ず敷地利用権とセットで行う必要があります(分離処分禁止)。
マンションなどの場合はその方が取引上、または登記の公示上、好都合なのかもしれませんが、個人の所有する土地に建てた二世帯住宅で分離処分禁止の規定が適用されると、なにかと不便なこともあります。この場合は、区分建物表題登記の際に、分離処分を可能とする規約証明書を添付すれば、敷地権の登記はされず、必要に応じて、区分建物と敷地利用権とを分離して処分することができます。
なお、このような規約証明書は、区分所有者が実印を押して印鑑証明書を備えるのが一般的ですが、次の場合は、必ず公正証書で作成することが区分所有法上、義務づけられています。
(公正証書による規約の設定)
第32条 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第4条第2項(規約共用部分の定め)、第5条第1項(規約敷地の定め)並びに第22条第1項ただし書(分離処分可能規約)及び第二項ただし書(敷地利用権の割合)の規約を設定することができる。
これは、マンションなどの分譲業者が分譲前に公正証書によって定めることで、その内容を明確にし、購入する区分所有者との間に紛争を残さないためとされています。
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以上です。
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※建物の区分所有等に関する法律
(分離処分の禁止)
第22条 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
(2項以下省略)
※敷地権とは、登記された敷地利用権(所有権、地上権又は賃借権)のうち、区分所有法第22条本文の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することのできないものをいいます。(不動産登記法第44条第1項第9号参照)
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<追記>
余談ですが、専有部分の敷地権割合は、原則、床面積割合で決まりますが、マンションの場合は、規約で別段の定めをすることが多いです。具体的には、広告等に記載されている販売面積(※)に応じて、公正証書で部屋ごとの敷地権割合を定めます。そのほか、公正証書では、規約敷地や規約共用部分なども併せて定めることが一般的です。
なお、原則どおり床面積割合で敷地権割合を定めたあと、床面積に誤りを発見したため錯誤で更正する際、敷地権割合にも影響が生じることになります。この場合、抵当権等があると、対処が困難なことも想定されますので注意が必要です。
※マンションの広告などに記載されている販売面積は、壁芯で計算されているため、登記の床面積とは異なることが多いです。
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