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「1月1日時点で登記、又は登録がされていない建物の所有者に対する固定資産税の納税義務について」
(最近の判例紹介)
建物などの固定資産の納税義務に関して定めた地方税法の規定では、固定資産の納税義務者を、賦課期日(1月1日)現在の「所有者」とし、ここでいう「所有者」とは、「登記記録又は土地もしくは家屋台帳に所有者として登記、又は登録されている者」としています。
この裁判の事例では、建物所有者であるXは、登記原因を「平成21年12月7日新築」とする建物表題登記を、「平成22年10月8日」申請したのに対し、市長が、同年12月に、平成22年度の家屋課税台帳の所有者をXとして登録した上で、Xに対して、当該家屋に係る平成22年度の固定資産税の賦課決定をしたというものです。
裁判では、Xは平成22年1月1日現在で地方税法の定める納税義務の要件が備わっていないのだから、同年の固定資産税の納税義務はないと主張しましたが、最高裁の判断では、「賦課期日の時点において所有者として登記又は登録されていることが固定資産税の課税要件となるものではなく、賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記又は登録されていれば足りる。」としています。
実務では、年末に完成した建物を翌年に登記することは珍しくありません。表題登記の申請の時期によって、その年度の固定資産税の納税義務の有無が変わるような事態が生じるとすれば、あえて登記申請を遅らせることにより納税回避が可能となるなど問題があります。本判決はこのような事例において、初めて一定の判断を示したものであり、実務上、有意義なものといえます。
平成26年9月25日 最高裁判所第一小法廷 判決
< 判示事項>
土地又は家屋につき賦課期日の時点において登記簿又は補充課税台帳に登記又は登録がされていない場合における,賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記又は登録されている者の固定資産税の納税義務の有無
<裁判要旨>
土地又は家屋につき,賦課期日の時点において登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に登記又は登録がされていない場合において,賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記又は登録されている者は,当該賦課期日に係る年度における固定資産税の納税義務を負う。
以上です。
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