テーマ

「不動産購入の際の注意点<夫婦で連帯債務>」

質問

 私は妻との共有名義で自宅不動産を購入しましたが、その際、私と妻が連帯債務者となって金融機関から住宅ローンの融資を受けました。ローン契約の際に、私は団体信用生命保険に加入しましたが、私に万が一のことがあれば、ローンの支払いはどうなりますか?


回答及び解説

 団信の適用によって住宅ローン債務は消滅し、連帯債務者の一人である妻の支払い義務はなくなります。ただし、注意すべき事があります。
 まず、団体信用生命保険(通称「団信」)とは、住宅ローンの支払い中、団信に加入している債務者に死亡や高度障害等の万が一のことがあると、保険によって住宅ローンが完済されるという制度です。この保険の特徴は、債務者を被保険者、銀行を保険契約者及び保険金受取人とするものであり、従って、債務者に保険料の支払い義務はなく、また、債務者(その相続人)が保険金で住宅ローンを完済するというわけでありません。
 次に、連帯債務とは、債務者一人一人が債権者に対し全額の支払い義務を負っている状態をいいます。一方で、債務者間においては、それぞれの負担部分を合意で決めることができます。

 ご質問の場合、妻は、夫の加入していた団信によって、妻の負担部分についての残債を免れたという経済的利益が生じたと判断されます。その結果、税務上、一時所得として所得税が課税されることになりますので注意が必要です。 
 この一時所得の計算方法は、例えば、妻の負担すべき残債部分が1000万円であったとするなら、1000万から50万円(特別控除額)を控除し、その金額の1/2に相当する金額、つまり475万円を給与などの他の所得の金額と合計して課税所得金額を求めた後、一定の税率を乗じるなどして納付金額を計算することになります。

(参考)
所得税の税率
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm

 不動産の購入には様々なコストがかかり、また税金もあとから発生してきます。不動産を購入する際は、信頼できる専門家によく相談し、事前に確認しておくことが重要と言えます。


以上です。



参考サイト

住宅ローンの連帯債務者が、団体信用生命保険に加入していた他の連帯債務者の死亡により住宅ローン債務が消滅したことにより受けた経済的利益は、一時所得に当たるとした事例

http://www.kfs.go.jp/service/JP/72/14/index.html

「国税不服審判所」のサイトより



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