家族信託の活用事例
高齢者が相続発生前に直面する財産管理の現実
先代からの相続により、賃貸物件を管理・所有しているAさん(78才)
現在、Aさんは家賃収入で生計を立てていますが、最近、歳とともに体がずいぶん弱ってきており、物忘れも頻繁にあります。今後の物件管理に不安を覚えたAさんは、
どのような解決方法がベストでしょうか?
現在、Aさんは家賃収入で生計を立てていますが、最近、歳とともに体がずいぶん弱ってきており、物忘れも頻繁にあります。今後の物件管理に不安を覚えたAさんは、
今のうちから賃貸物件の管理や処分に必要な事務をすべて長男Bさんに任せ、一方、自分はこれまでとおり、その家賃収入で生計を立てていきたい
と考えるようになりました。そして、自分に相続が発生したら、賃貸物件は長男Bさんに譲渡したい。どのような解決方法がベストでしょうか?
高齢者Aさんの希望@
将来の認知症対策を見据えて、元気なうちから賃貸物件の維持や管理又は必要に応じた処分などの手続きを長男Bに任せておきたい。
高齢者Aさんの希望A
家賃収入やその他の収益はこれまでとおり自分が確保したい。
高齢者Aさんの希望B
将来、自分に相続が発生したら、賃貸物件は管理をしている長男Bにそのまま相続させたい。
何もしなければ、成年後見制度の利用
何も対策をとらないという選択は、危険です。
何も対策を取らないまま、もしAさんが認知症等になり判断能力が衰えたら、その後の物件の維持・管理または必要に応じた処分のためには、家庭裁判所へ成年後見人を選任する手続きが必要となります。
ところで、現在の成年後見制度では、親族のBさんが後見人に就任できる可能性は少なく、また、選任された職業後見人による不正トラブルや、家庭裁判所へ財産開示することの抵抗等があって、後見制度の利用を控えたいと考えている人も少なくありません。さらに、職業後見人(後見監督人)へ支払うの年間の報酬額(20万〜50万程度)もネックになります。
このようなケースで、対策を何もしないという選択は、お勧めできません。
「自前で」対策!家族信託で問題解決
Aさんの希望は、
家族信託
を利用することで叶えられます。具体的には、以下の内容の信託契約を締結することで、大事な資産をAさんの希望のとおり維持・確保しつつ、信託の終了後は、円滑に資産承継
することができます。
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家族信託の契約の流れ、特徴
家族信託の契約の流れ、特徴