Sの母Aの自宅について、弟Rが売却・換価を考えている。母Aに自宅売却の意思はないが、お金に困っている弟Rの話にそそのかされて、自宅を売ってしまうのではないかと心配である。現在、母Aの身上看護は私(S)が自宅で行っており、預貯金に関しても、私が通帳を預かって管理をしている。
お悩み |
高齢の親の財産を保全したい。 現代日本人の平均寿命と介護を要しない「健康寿命」との差は、約7年とされており、その間の高齢者の財産管理をどのように適性に行っていくかは、お持ちの資産の多寡に関わらず大きな課題といえます。 |
対 策 |
現行の「任意後見」制度だけでは、親の資産は守りきれない。 母Aとの間で「任意後見契約」を締結しても、母Aの行為を制限することはできず、後見人に契約の取消権はないため、本人の財産を保全する効果は期待できません。また、預貯金に関し、家族が通帳を預かって管理しても、窓口での各種手続には限界があります。そこで、母Aの自宅を確保するため、あるいは、預貯金を適性に管理するためには、母Aを委託者、長女Sを受託者とする財産管理信託契約を締結し、Sが受託者として正式に母Aの自宅や預貯金を管理・保全を始めます。 |
結 果 |
信託した財産は受託者によって適性に管理・保全される。 自宅を信託財産とし、登記名義を受託者Sとすることで、母Aが第三者に騙されて自宅を処分してしまうようなトラブルを防ぐことができます(資産確保の効果)。また、母Aの預貯金を信託財産とすることで、受託者Sはこれを信託口口座等によって厳正に分別管理する義務があり、母Aは安心してSに財産管理を任せることができます。なお、この場合、高齢のAのための受益者代理人や、受託者Sを管理・監督する機関として信託監督人等を併せて設置することで、安全な財産管理を行うことができます。 |