平成31年3月作成
家族信託において委託者が複数いる場合の検討事項
テーマ
共有不動産において共有者のうちの一部の者が受託者となる場合の信託の設定について
よくある共有不動産の質問
兄弟ABCで共有している不動産につき、Aを受託者とする管理又は処分を目的とした信託の設定を考えています。どのような方法がありますか?
解説
共有不動産について、共有者の一人に対し信託による管理又は処分を任せるといった場合、まず考えられるのは、共有者の一人を受託者とし、他の者を委託者とする管理処分型の信託契約を締結する方法があります。
この場合、信託契約を委託者毎に分けて締結する方法と、まとめて一つの契約で締結する方法とあります。いずれの方法によるかは、それぞれの実情に応じて決める必要があります(これに関し、取引先との事前の打ち合わせが必要となるケースもあります。)。
共有不動産について、共有者の一人に対し信託による管理又は処分を任せるといった場合、まず考えられるのは、共有者の一人を受託者とし、他の者を委託者とする管理処分型の信託契約を締結する方法があります。
この場合、信託契約を委託者毎に分けて締結する方法と、まとめて一つの契約で締結する方法とあります。いずれの方法によるかは、それぞれの実情に応じて決める必要があります(これに関し、取引先との事前の打ち合わせが必要となるケースもあります。)。
【一つの契約とした場合】
【二つの契約とした場合】
受益者及び受益権の内容をどのように設定するか
受益者を委託者と同一人物(B・C)と設定した場合、税務上、委託者間で贈与をしたとみなされないように、通常は、信託した財産の価額の割合に応じてそれぞれの受益権の割合を決定します。
また、設定した受益権の割合は信託財産全体に及ぶとされているため、設定後に予期せぬ課税が発生しないように、それぞれの受益者が有する受益権の権利の内容を信託行為に個別具体的に定めておくことが重要となります。
また、設定した受益権の割合は信託財産全体に及ぶとされているため、設定後に予期せぬ課税が発生しないように、それぞれの受益者が有する受益権の権利の内容を信託行為に個別具体的に定めておくことが重要となります。
委託者をB及びC、受託者をAとして信託を設定した場合の注意点
信託を設定していないA持分については信託財産とされないため、将来、Aの判断能力の低下や、Aの死亡といった事由が生じた場合、不動産全体を管理・処分するには、以後、成年後見人や相続人らの関与が必要となります。
一方、受託者Aにつき死亡、あるいは後見開始(又は保佐開始)といった事由は、信託法上の受託者の任務の終了事由に該当するため、信託法あるいは信託行為(信託契約)の定めに従って、後継の受託者が選任されます。
一方、受託者Aにつき死亡、あるいは後見開始(又は保佐開始)といった事由は、信託法上の受託者の任務の終了事由に該当するため、信託法あるいは信託行為(信託契約)の定めに従って、後継の受託者が選任されます。
委託者のうちの一部の者を受託者とする場合の注意点
この契約で委託者をA・B・Cとすれば、A持分も信託財産となり、共有不動産全体を信託財産として、信託の目的に従い、管理、処分等をするとができるため好都合のはずです。しかし、この場合、登記実務上、検討すべき問題があります。これに関しては、次のページで解説します。