不動産登記/信託登記

家族信託の受託者の変更

信託不動産の受託者の変更について 

質問 1
 父所有の建物を父を委託者、長男を受託者とし、長男が建物を管理・処分等することを目的とする信託契約によって、父から長男へ所有権移転及び信託の登記をしました。
 今般、長男が受託者を辞任し、新しい受託者が就任したことから、登記上の受託者を長男から新受託者へ変更したいと考えています。どのような登記手続きになりますか。

質問 2
 父所有の建物を父を委託者、長男を受託者とし、長男が建物を管理・処分等することを目的とする信託契約によって、父から長男へ所有権の移転及び信託の登記をしました。
 今般、長男が死亡し、新しい受託者が就任したことから、登記上の受託者を長男から新受託者へ変更したいと考えています。どのような登記手続きになりますか。

受託者の辞任要件

受託者の任務の終了事由

信託法では、受託者の任務の終了事由として、以下が規定されています。

・受託者の死亡
・受託者の辞任

その他にも、受託者の後見開始や破産開始、解任、信託行為に定めた事由の発生などもあります(信託法第56条参照)。

信託法では、辞任について次のような具体的な規定が存在します。

第57条(受託者の辞任)
 受託者は、委託者及び受益者の同意を得て、辞任することができる。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
2 受託者は、やむを得ない事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

 このことから、
受託者が辞任する際には、原則として委託者および受益者の同意が必要
となります。しかし、たとえば、信託行為(信託契約)に「受託者は、やむを得ない事由がある場合、受益者に通知をすることで辞任できる。」といった特約(別段の定め)を設けておけば、その特約が優先されます。このように、辞任に関する要件や手続きは信託行為で柔軟に設定することが可能です。

新受託者の選任

家族信託における新受託者の選任


 家族信託において、受託者の変更手続きは非常に重要なポイントです。まず、信託行為(信託契約)に新受託者となるべき者が指定されている場合、利害関係人は、その者に対して相当の期間内に受託者への就任を承諾するかどうかを確答するよう催告することができます(信託法第62条第2項)。この期間内に確答がない場合、その者は新受託者として就任しなかったものとみなされます(同条第3項)。そのため、信託契約に基づく手続きを円滑に進めるには、指定された者が速やかに確答することが重要です。

 一方、信託行為に新受託者の指定がない場合、または指定された者が新受託者に就任しなかった場合には、委託者と受益者の合意によって新受託者を選任することができます(同条第1項)。なお、委託者が死亡している場合や存在しない場合には、受益者が単独で新受託者を指定することも可能です(同条第8項)。

 さらに、新受託者が就任した場合、その新受託者は前受託者の任務が終了した時点で、その時点に存在する信託に関するすべての権利義務を承継するとみなされます。受託者が辞任した場合は、原則として、新受託者が就任した時点で、前任者の権利や義務を引き継ぐことが信託法第75条第1項・第2項で規定されています。

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