相続・遺言・遺産承継
遺贈の登記申請と法改正後の手続き|司法書士が解説
質問
遺贈の登記申請をするにつき相続人全員の協力が得られない場合はどうしたらいいですか。
回答
遺贈の登記は、不動産をもらう受遺者と、遺言執行者又は遺言者の相続人全員との共同申請で行う必要があります。遺言書の中で遺言執行者の指定がない、あるいは、指定された者が就任を拒んだ場合は、相続人全員に登記申請の協力をお願いすることになりますが、これが難しい場合は、家庭裁判所へ遺言執行者の選任の申立てをする必要があります。
ところで、令和3年の不動産登記法の改正で、相続人に対する遺贈の登記は、受遺者からの単独で申請することができると改められました。
遺贈の登記申請をするにつき相続人全員の協力が得られない場合はどうしたらいいですか。
回答
遺贈の登記は、不動産をもらう受遺者と、遺言執行者又は遺言者の相続人全員との共同申請で行う必要があります。遺言書の中で遺言執行者の指定がない、あるいは、指定された者が就任を拒んだ場合は、相続人全員に登記申請の協力をお願いすることになりますが、これが難しい場合は、家庭裁判所へ遺言執行者の選任の申立てをする必要があります。
ところで、令和3年の不動産登記法の改正で、相続人に対する遺贈の登記は、受遺者からの単独で申請することができると改められました。
妻へ全財産を遺贈する
妻へ全財産を遺贈するとした遺言の場合、妻が単独で登記申請することが認められるようになりました。
従来、このような場合は、登記申請のために遺言執行者を選任する必要あり、手間やコストがかかっていましたが、改正により不要になったといえます。また、従来は、共同申請であったことから、登記申請にあたり遺言者の登記済権利証(又は登記識別情報通知)の提供が必要でしたが、これも不要になりました。この改正によって、相続人に対する遺贈の登記申請は、ずいぶんとやりやすくなったといえます。
また、遺贈の登記における納付すべき登録免許税は、不動産の価額×20/1000で計算します。ただし、相続人に対する遺贈の場合は、相続人であることを証する書面を添付することで不動産の価額×4/1000で計算します。実際に計算すると、だいぶ金額が違うことがわかります。
例;不動産の固定資産税評価額 金3000万円
納付すべき登録免許税額
相続人以外の者への遺贈・・・金3000万円×20/1000 =60万円
相続人への遺贈・・・金3000万円×4/1000 =12万円
相続人への遺贈登記が単独申請で可能に!その手続と注意点
遺贈の登記申請における手続きと司法書士への相談の重要性
不動産の遺贈に関する登記申請は、法改正により手続きが一部簡略化されたものの、依然として状況によっては複雑な対応が求められることがあります。たとえば、遺言執行者が指定されていない場合や、相続人全員の協力が得られない場合には、家庭裁判所で遺言執行者の選任を申立てる必要があります。また、登録免許税の計算や添付書類の要件も正確な知識が求められるため、ミスが生じると手続きが遅延するリスクがあります。さらに、法改正により相続人への遺贈については単独申請が可能となりましたが、適用される条件や具体的な手続きについては、専門的な判断が必要です。例えば、登録免許税は通常20/1000ですが、相続人への遺贈の場合は4/1000に軽減されます。このような手続きの違いを適切に理解し実行するには、専門家の支援が欠かせません。
司法書士は、こうした複雑な手続きにおいて、適切な手続きの選択や書類作成、登録免許税額の計算などをサポートします。ご自身の意思を確実に実現し、不動産の円滑な承継を進めるためにも、ぜひ司法書士にご相談ください。プロの支援により、安心して手続きを進めることができます。