相続・遺言・遺産承継
不動産登記と死因贈与
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死因贈与契約とは、贈与者の死亡によって効力が発生する贈与契約のことをいい、相続対策や不動産対策などで使われる手法の一つといえます。具体的には、ある不動産について、生前に当事者間で死因贈与契約を締結することで、受け取る側【受贈者】は、渡す人【贈与者】が死亡したとき、はじめてその不動産を取得することになります。通常は、契約と同時に対象不動産に対し、条件付所有権移転の仮登記(以下、「2号仮登記」といいます。)を打つことで、将来の権利をあらかじめ保全しておくといった方法が一般的です。
さて、死因贈与契約は、上記のとおり、遺贈(遺言による贈与)と通じる部分が多いため、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定が準用され(民法554条参照)、また、判例では、死因贈与契約の取消しについては、民法1022条がその方式に関する部分を除いて準用されるとしています。
死因贈与も遺贈と同様に、贈与者の最終の意思を尊重すべきとして、原則、撤回が認められるといえます。また、撤回の方式は、必ずしも遺言で定められているような厳格な方式による必要ななく、通常の契約の撤回と同様の方式で行えば足ります。ただし、撤回が認められないケースとしては、下記判例が参考になります。
【死因贈与契約の撤回が否定された事例】
・負担付死因贈与に関しては、負担(例えば、高齢である贈与者の看護・療養を行うこと)が先履行となっており、受贈者(もらう側の人)が、負担の全部、またはこれに類する程度の履行を行っていた場合は、撤回に関する規定の準用を否定するとした事例【最判昭57.4.30民集36.4.763】
・民法1023条第2項の準用が争われた事案において、死因贈与が裁判上の和解に基づき成立した場合は、贈与者が自由に撤回することはできないとされた事例【最判昭58.1.24民集37.1.28】
なお、死因贈与契約に基づいて2号仮登記が入っている場合は、撤回が認められるケースであっても、原則、2号仮登記の抹消登記手続には受贈者側の協力が必要となるので注意が必要です。
参考条文 民法
(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第1023条
前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2.前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。
以上です。
相続、不動産登記のご相談ならお気軽にご連絡ください。
有効に成立した死因贈与契約を撤回する方法
死因贈与契約とは、贈与者の死亡によって効力が発生する贈与契約のことをいい、相続対策や不動産対策などで使われる手法の一つといえます。具体的には、ある不動産について、生前に当事者間で死因贈与契約を締結することで、受け取る側【受贈者】は、渡す人【贈与者】が死亡したとき、はじめてその不動産を取得することになります。通常は、契約と同時に対象不動産に対し、条件付所有権移転の仮登記(以下、「2号仮登記」といいます。)を打つことで、将来の権利をあらかじめ保全しておくといった方法が一般的です。
さて、死因贈与契約は、上記のとおり、遺贈(遺言による贈与)と通じる部分が多いため、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定が準用され(民法554条参照)、また、判例では、死因贈与契約の取消しについては、民法1022条がその方式に関する部分を除いて準用されるとしています。
死因贈与も遺贈と同様に、贈与者の最終の意思を尊重すべきとして、原則、撤回が認められるといえます。また、撤回の方式は、必ずしも遺言で定められているような厳格な方式による必要ななく、通常の契約の撤回と同様の方式で行えば足ります。ただし、撤回が認められないケースとしては、下記判例が参考になります。
【死因贈与契約の撤回が否定された事例】
・負担付死因贈与に関しては、負担(例えば、高齢である贈与者の看護・療養を行うこと)が先履行となっており、受贈者(もらう側の人)が、負担の全部、またはこれに類する程度の履行を行っていた場合は、撤回に関する規定の準用を否定するとした事例【最判昭57.4.30民集36.4.763】
・民法1023条第2項の準用が争われた事案において、死因贈与が裁判上の和解に基づき成立した場合は、贈与者が自由に撤回することはできないとされた事例【最判昭58.1.24民集37.1.28】
なお、死因贈与契約に基づいて2号仮登記が入っている場合は、撤回が認められるケースであっても、原則、2号仮登記の抹消登記手続には受贈者側の協力が必要となるので注意が必要です。
参考条文 民法
(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第1023条
前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2.前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。
以上です。
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