相続により取得した共有不動産の売却処分
多数の相続人で共有する不動産の売却方法について
よくある共有不動産の質問
亡父名義のマンションにつき、相続人である長男A・長女B・二女Cの3名がこのマンションを売却して、代金を3分の1ずつ分割したいと考えています。BとCは遠方に住んでいることなどの理由からマンションの面倒な売却手続には関わりたくないとして、売却活動はAに任せるとしています。
なにか良い方法はありますか?
<相続関係図>
最初の相続登記をどうするか
被相続人名義の不動産を相続人が売却を予定している場合、まず、登記名義を相続人の名義とするための相続の登記申請が必要になります。法定相続人が多数の場合、相続人全員の名義で相続登記をすると、実際の売却手続において、売買の関係者(司法書士や仲介業者、事情により、買主となる者やその融資先金融機関等)が、「売主」である相続人全員の意思確認や本人確認等を面談を通じ求めてきます。確認する側、確認される側、いずれにとっても手間と費用のかかる作業であり、売却完了までの時間を要します。また、相続人全員での売却活動は意思統一の調整が大変であって、適切なタイミングでの売却が困難となることが想定されます。
代表相続人の単独名義とすることでスムーズな売却ができる
そこで、相続人の中から代表相続人を一人選び、相続登記は、代表の相続人の単独名義で申請するという選択をすることができます。上記事例の場合、相続人間でAを代表相続人とする協議を行い、亡父からAの単独名義とする相続登記を申請します。これにより、Aは単独で売却活動をすることができます。
代表相続人の単独名義とする換価型遺産分割について
換価型遺産分割とは、遺産である不動産を相続人が売却し、その代金を相続人全員で分配する方法です。これは、不動産それ自体の取得を目的とせず、不動産を換価すなわち売却して現金化したあとに、それを相続人全員で分けるといった方法で、一般的によく利用される遺産分割方法です。この場合、売却の前提として、登記名義を相続人名義とするの相続の登記手続きが必要になります。
しかし、相続人が多数の場合にこれを相続人全員の名義で登記をすると、実際の売却活動がスムーズにいかないことが想定されます。そこで、相続登記の名義を代表相続人の一名とし、その者が売主として売却活動を行い、受け取る現金については、相続人全員であらかじめ決めた内容で分割をする方法を検討します。
代表相続人が不動産を売却する場合の換価型遺産分割協議の内容
※実情に合わせて内容を決めていきます。
※次の事項を、協議書又は別途覚書等で定めておく必要があります。
・代表相続人の権限の範囲
・相続手続にかかる諸費用や不動産の引渡までの管理費用等の具体的な項目、立て替えの方法等
・譲渡所得税等の課税の確認 他
※次の事項を、協議書又は別途覚書等で定めておく必要があります。
・代表相続人の権限の範囲
・相続手続にかかる諸費用や不動産の引渡までの管理費用等の具体的な項目、立て替えの方法等
・譲渡所得税等の課税の確認 他
ただし、この方法による換価分割の場合、次のように注意すべき事項があります。