相続放棄をする順番にご注意
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「相続が複数発生している場合は、相続放棄をする順番にご注意くださいというお話」
☆長男Aさんからの相談☆
数年前に父が死亡しました。父には後妻のWさんがいましたが、わたしはWさんと不仲だったので、父の遺産分割ができずに今日まで至りました。ただ、先月、Wさんが亡くなったとの知らせがあり、これで父の相続人はわたし一人になったので、これから父の相続手続を行いたいと思いますが、いかがでしょうか。
☆相続関係☆
亡父(2020.1.30死亡) = 後妻Wさん(78歳/2023.6.1死亡)
@ 亡父の子どもは、長男Aさん(わたし)のみ
A Wさんには生涯、子どもはいなかった
☆Aさんの勘違い☆
Wさんの死亡を知ったとき、Aさんはこれで父の相続人は自分一人になったと思い、父の遺産手続をしようと司法書士事務所へ相談にきました。しかし、いったんWさんに相続された父の相続分は、Wさんの死亡によって消滅することはなく、この場合、Wさんに子どもがいなければ、Wさんの兄弟姉妹(両親はすでに他界しているとして。)が父の相続権を取得していることになります。
つまり、AさんはWさんの兄弟姉妹を探して、その者たちと遺産分割協議をする必要があります。
ところで、このケース、Wさんが一人っ子だったら、どうでしょうか。結果的にAさんの単独相続でしょうか?答えはそうではなく、Wさんが一人っ子なら相続人不存在ということになり、その場合は、家庭裁判所に相続財産管理人の選任申立をする必要があります。
☆司法書士による相続人調査の結果☆
Wさんの相続人は、司法書士が戸籍等を調査することで容易に判明します。結果、Wさんには、兄(ここでは「Sさん」としておきます。)が1名いることが判明しました。司法書士がSさんに相続開始のお知らせと題する文書を送付すると、Sさんから司法書士へ連絡があり、「妹Wとは長年付き合いがない、関わりたくないので相続放棄をしたい。」と言われました。一見するとこのことはAさんにとって吉報とも言えそうですが、問題は、Sさんが「だれの」相続を放棄するのか?という点です。
続きは、こちらに書きます。