平成31年4月作成
相続における生命保険の特徴
生命保険を活用した相続対策をご案内します。
相続の局面で使える生命保険の特徴
メリット1 |
相続開始後すぐに現金化できる 相続開始時には葬儀費用をはじめ様々な費用が発生しますが、これらの資金を遺産の中から捻出する場合、原則、相続人全員による遺産分割協議が必要です。そこで生命保険を活用することで、平均4.5日で資金を捻出することが可能となります。 |
メリット2 |
相続放棄をしても生命保険金は受け取れる 民法上の相続財産には故人の「借金」も含まれるため、相続人が相続放棄を選択することも珍しくありませんが、生命保険金は、民法上の相続財産でないため、相続放棄をしても生命保険金は受け取ることができます。 |
メリット3 |
納税資金や他の相続人への代償金として活用できる これは生命保険の最大の特徴といえますが、たとえば、相続財産の大半が不動産であり相続税の納税資金(現金)がないといったケースや、あるいは、全財産を妻に相続させたいが他の相続人からの遺留分対策として遺産とは別口で妻へ現金を残したいといったようなケースにおいて、生命保険を最大限に活用することができます。 |
生命保険金は遺産分割の対象外
生命保険金は、民法上の相続財産ではなく、受取人の固有財産となります。このことから遺産分割の対象とならず、保険事故が発生したら、受取人は保険会社へ連絡し、速やかに保険金を受領することができます。この仕組みを相続の局面で上手く活用することが重要です。
なお、税法上は「みなし相続財産」として生命保険金は相続税の課税対象となりますが、法定相続人一人につき500万円の非課税金額を非課税財産として控除する計算ができます。
なお、税法上は「みなし相続財産」として生命保険金は相続税の課税対象となりますが、法定相続人一人につき500万円の非課税金額を非課税財産として控除する計算ができます。
<相続税の非課税財産>
契約者と被保険者が同一人(故人)であって、受取人が相続人といったケースです。
500万円×法定相続人の数(※)=非課税限度額
(※)
1.相続放棄した者がいたとしても放棄はなかったものとして、相続人の数に加えます。
2.相続人以外の者(例;孫)や相続放棄した者が受け取る場合は、非課税財産の適用はありません。
500万円×法定相続人の数(※)=非課税限度額
(※)
1.相続放棄した者がいたとしても放棄はなかったものとして、相続人の数に加えます。
2.相続人以外の者(例;孫)や相続放棄した者が受け取る場合は、非課税財産の適用はありません。
生命保険金は原則、特別受益に該当しない
特別受益とは、相続人が故人から生前に贈与された財産(自宅の購入費用、結婚資金等)や、遺贈によって得た財産など、いわゆる「遺産の前渡し分」に相当するものを指します。
生命保険金がこの特別受益に該当するとなる場合、生命保険金を受け取った相続人は遺産分割において相続分が修正されることになります(民法§903参照)。
そこで、生命保険金が特別受益に該当するかどうかということが重要なポイントになりますが、これについて次の平成16年最高裁判決が参考になります。これによれば、一般的に、生命保険金は特別受益に該当しないと判断していますが、その額や遺産の額に占める割合等を総合的に考慮して判断するとあるので、注意が必要です。
生命保険金がこの特別受益に該当するとなる場合、生命保険金を受け取った相続人は遺産分割において相続分が修正されることになります(民法§903参照)。
そこで、生命保険金が特別受益に該当するかどうかということが重要なポイントになりますが、これについて次の平成16年最高裁判決が参考になります。これによれば、一般的に、生命保険金は特別受益に該当しないと判断していますが、その額や遺産の額に占める割合等を総合的に考慮して判断するとあるので、注意が必要です。
(参考)
〜平成16年10月29日付け最高裁判決の要旨〜
被相続人を保険契約者及び被保険者とし,共同相続人の1人又は一部の者を保険金受取人とする養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権は,民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないが,保険金の額,この額の遺産の総額に対する比率,保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係,各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して,保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,特別受益に準じて持戻しの対象となる。
〜平成16年10月29日付け最高裁判決の要旨〜
被相続人を保険契約者及び被保険者とし,共同相続人の1人又は一部の者を保険金受取人とする養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権は,民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないが,保険金の額,この額の遺産の総額に対する比率,保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係,各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して,保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,特別受益に準じて持戻しの対象となる。