相続・遺言・遺産承継

遺言と相続放棄

テーマ

「相続放棄をした者を含めて法定相続登記をした場合の登記の変更について」


質問

 甲不動産につき,A、B及びC名義とする共同相続の登記をしましたが,この共同相続登記前にCが相続放棄をしていました。今回,AB間で甲不動産につき遺産分割協議をし,Aが単独で相続することが決まりました。この場合,A、B及びCの名義となっている登記をどのようにAの単独名義に直したらいいのでしょうか?


回答

 A及びBへの所有権更正登記をした後に,BからAへの遺産分割を原因とする持分全部移転登記をする必要があります。

解説

 甲不動産につき,A、B及びCの共同相続登記をしたが,Cが相続放棄をしていた場合,Cは相続開始の時点から相続人ではなかったことになります(民法第939条)。したがって、A、B及びCの共同相続登記は,その登記をした時点で(Cを含めたこと自体が)誤りであったということになりますので,錯誤を原因として,A、Bへの所有権更正登記をする必要があります。
 また、この更正登記をする前に,AB間で甲不動産につき遺産分割協議をし,Aが単独で相続することが決まった場合ですが,遺産分割の遡及効(民法第909条)により,甲不動産ははじめからAが単独で相続したものとし,ABへの所有権更正登記を経ずに,直接A名義への更正登記も考えられそうですが,現在の登記実務では,まず,A及びBへの所有権更正登記をした後に,BからAへの遺産分割を原因とする持分全部移転登記をする必要があります。
 なお,仮に,質問にあるCの相続放棄が共同相続登記後になされた場合であっても,相続放棄をしたものは,遡及的に相続人でなくなるので,Cを含めた共同相続登記ははじめから誤りであったという結論は変わらず,このような場合でも更正登記で処理していく必要があります。

参考文献 登記インターネット126号


以上です

※平成25年当時の情報です。実際の事例につきましては、最寄りの専門家等でお問い合わせください。



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