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「合同会社設立登記の電子定款にかかる電子証明書の有効期限について」

質問

 合同会社設立登記の際に添付する定款を「電子定款」で作成した場合,定款作成者の電子署名にかかる電子証明書の有効性は,いつの時点で判断されるのでしょうか?

 回答

 当該署名を付した電磁的記録(電子定款)の作成時において有効なものであれば足りるとされています。

解説

 合同会社の設立に際して作成する定款は,株式会社の定款と異なり,公証人の認証を受ける必要はありません。したがって,合同会社の定款を「紙」で作成する場合は,社員全員が当該定款に署名又は記名押印をし,また,「電磁的記録」をもって作成する場合は,当該電子定款に電子署名をすれば定款は有効なものとなります(会社法第575条第一項第二項、会社規則第225条参照)。
 そこで,定款を電磁的記録(電子定款)で作成した場合に,電子定款の作成から設立の登記のオンライン申請までの間に当該電子署名にかかる電子証明書が有効期限の満了等を理由に失効してしまうといったケースが考えられます。この場合,登記申請時の電子定款には,有効な電子証明書が付されていないといった状態になりますが,これに関し,登記所では,以下のような取扱いがなされています(下記太字箇所参照)。


「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行等に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(平成16年3月31日付け法務省民商第952号通達)」

(1)オンライン登記申請の調査の方法
登記官は,オンライン登記申請を調査した結果,次のアからオまでのいずれかの場合には,申請を却下しなけれぼならない。ただし,補正が行われた場合は,この限りでない。
ア 申請書情報に作成者として表示された申請人等と電子署名をした者が異なる場合(法第24条第6号該当)
イ 添付書面情報の作成者と電子署名をした者が異なる場合(法第24条第8号該当)
ウ 添付書面情報につき,電子署名の検証の結果,当該添付書面情報が改ざんされていることが検知された場合(検証に失敗した場合)(法第24条第8号該当)
エ 委任状情報につき,電子証明書の有効性確認の結果,申請の受付時において当該電子証明書が存在せず,若しくは有効期限が切れ,失効し,又は保留(ただし,登記事項に変更を生ずべき登記の申請を受け付けたことによる場合は除く。)されていたことが確認された場合(法第24条第8号該当)
オ 委任状情報を除く添付書面情報につき,電子証明書の有効性確認の結果,電子署名時において当該電子証明書が存在せず,若しくは有効期限が切れ,失効し,又は保留(ただし,登記事項に変更を生ずべき登記の申請を受け付けたことによる場合は除く。)されていたことが確認された場合(法第24条第8号該当)
なお,委任状情報を除く添付書面情報につき,電子署名に係る電子証明書は,当該署名を付した電磁的記録の作成時において有効なものであれば足り,登記官が有効性を確認,した時点で失効等していても,差し支えない。電子証明書によっては,過去のある時点における有効性の確認ができない場合があるが,そのような場合には,当該電子署名を付した電磁的記録の作成時において当該電子証明書が有効でないことを明確に推認することができるときを除き,当該電子署名は有効にされたものとして取り扱って差し支えない。

(以下省略)

 したがって,当該電子定款の作成時において当該電子証明書が有効でないことを明確に推認できる場合を除き,当該電子定款の電子署名は有効なものとして取り扱われることになります。


以上です。


参考文献 登記研究746号質疑応答




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