テーマ「残存取締役が代表取締役となるか否か(再掲)」


〜事例〜
 取締役A・B、代表取締役Aと登記されている取締役会非設置会社において、以下の定款の定めがある場合、Aが取締役を辞任した際の登記すべき事項と添付書類は何か。


<定款T>
(取締役の員数)
当会社は、取締役三名以内を置く。
(代表取締役及び社長)
@株主総会の決議により、代表取締役一名を選定する。
A代表取締役を社長とし、会社の業務を執行する。
B取締役一名のときは、当該取締役を社長とする。

<定款U>
(取締役の員数)
当会社は、取締役三名以内を置く。
(代表取締役及び社長)
@株主総会の決議により、代表取締役一名を選定する。
A代表取締役を社長とし、会社の業務を執行する。


〜回答及び解説〜

<定款T>の場合

 まず、Aに関し登記すべき事項として、「平成○年○月○日 取締役A辞任」「同日 代表取締役A資格喪失退任」であり、日付けは辞任の効力発生日となります。
 次に、Bに関しBの規定から、取締役Bに代表権が付与されることとなり、Bにかかる登記すべき事項は、「平成○年○月○日 代表取締役B代表権付与」(※)であり、日付けはAの辞任の効力発生日ということにとなります。添付書類については、Aの辞任届と代表権の付与を証するための定款Tが必要になります。
(※)取締役について代表取締役への選定行為がない場合においても、法律上の効果から、当該取締役に代表権が付与される場合ことを指します。


<定款U>の場合

 この場合、現在の登記実務では、Aが辞任し取締役がB一名となっても、Bに当然代表権があるわけではないと解されています(登記研究646号参照 cf;「取締役の互選」のケース)。
 したがって、Aに係る登記すべき事項は、ケース<定款T>と同様ですが、Bに関しては、「平成○年○月○日 代表取締役B就任」となり、登記原因年月日は、代表取締役Bの選定に係る株主総会の決議日ということになります。
 添付書類は、取締役Aの辞任届と、新代表取締役の選定に係る株主総会議事録及び当該議事録に押印された印鑑についての印鑑証明書(商業登記規則61条4項1号参照)が必要になります。


以上です。

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参考条文

会社法

(株式会社の代表)
第349条  取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2  前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。
3  株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。
4  代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
5  前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。


参考文献

「登記インターネット第118号「最近の商業・法人登記実務の諸問題(その二)」

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