不動産登記/抵当権抹消

清算結了している会社の抵当権抹消登記手続


テーマ

「抵当権者である会社が清算結了の登記をしている場合の抵当権抹消登記手続の方法は」

事例

@Sさんから相談を受けた司法書士Mが対象マンションの現在の登記記録を提供サービスで確認したところ、A保険相互会社名義の抵当権(昭和43年○月○日設定)がそのまま残っていた。
Aその後、Sさんの亡父の書類の中に、A保険相互会社作成の弁済証書(昭和61年当時に作成のもの)が発見された。
B司法書士MがA保険相互会社の法人登記記録を確認したところ、平成18年○月○日清算結了とあった。

※相談内容
A保険相互会社名義の抵当権を抹消するにはどのようにすればいいですか?




回答
 A保険相互会社の登記記録にある清算人に対し、抵当権の抹消登記手続を求め、会社を登記義務者として抵当権の抹消登記を申請します。清算人が既に死亡している場合においては、新たに清算人選任手続を行い、当該清算人に対し、抵当権の抹消登記手続を求めることになります。

解説
 通常、抵当権の抹消登記の申請方法は、抹消原因(弁済、解除等)が生じた後、所有者を登記権利者とし、抵当権者を登記義務者とする共同申請によって行います。抹消登記申請の前に、抵当権者である会社が解散し、清算手続中の場合には、清算人が会社を代表することになるため、清算人との共同申請によって抹消登記を申請すれば足ります。

 一方、当該会社の清算手続が既に完了し、清算結了の登記がなされた場合は、まず、清算結了の登記を錯誤で抹消し、当該会社を清算中の会社として復活させた上で、登記権利者である所有者と当該会社の清算人との間で抹消の登記原因に当たる法律行為等をし、抵当権の抹消登記を申請することになります。

 しかし、登記実務では、一定の要件に該当する場合、登記経済上、上記「清算結了の登記の錯誤抹消」を省略することを認めています。具体的には、抵当権者が清算結了した日より前の登記原因日付による登記の申請手続については、便宜上、清算結了の登記を錯誤で抹消することなく、清算結了の登記のよって閉鎖された会社の登記事項にある清算人を相手に登記手続を求めれば足ります。この場合において、抵当権抹消登記申請にあたり、清算会社の印鑑証明書の添付が要求されるケース(例;抵当権設定登記済証を提供できない等)では、清算結了した会社の印鑑証明書は発給されない扱いのため、便宜、清算人個人の印鑑証明書を添付すれば足りるとする通達があります。

 なお、上記事例と異なり、弁済や解除等の法律行為のあった文書が存在しないなどの状況で、抵当権抹消登記請求を裁判で求める場合は、これとは別の検討が必要となります。

以上です。

※記事の内容は、掲載当時の法令の解釈、あるいは実務の運用に基づいているため、ご活用の際は必ず最新の情報をご確認のうえ、管轄の登記所又は登記を担当する専門家へご相談ください。



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