相続、遺言、不動産登記手続

不動産登記手続

テーマ
「死因贈与と仮登記手続」

<質問>

 AとBの間で、A名義の不動産をA死亡後にBへ贈与するという内容の契約を公正証書で締結しました。この場合、Bは、Aの死亡前になにか登記をする手段はありますか?また、ある場合は、どのような登記をしたら良いのでしょうか?

<回答及び解説>

 通常の贈与契約に、贈与者の死亡によって効力を生じるといった附款(条件)をつけたものを

「死因贈与契約」

といいますが、質問のように、特定不動産につき死因贈与契約を締結した場合は、「平成○年○月○日贈与(始期 Aの死亡)」を登記原因とする「始期付所有権移転仮登記」ができるとされています(登記研究352号)。

 また、仮登記の申請手続に関しては、通常の登記申請と異なり、仮登記の登記権利者からの単独申請が認められている(不登法107条)ため、

Bは単独で仮登記を申請することができます。

この場合、登記義務者であるAの承諾書(印鑑証明書付)が必要となります(不動産登記令19@A参照)。

 ただし、公正証書によってAB間の死因贈与契約が締結され、かつ、当該契約書に仮登記申請に関する認諾条項が記載されている場合は、Bは、当該公正証書をもってAの承諾書や印鑑証明書を添付することなく、単独でBを権利者とする始期付所有権移転仮登記を申請することができます。
 通常、死因贈与契約を締結する場合は、将来の本登記の手続等も見越して、公正証書で作成することをお勧めします。

以上です。


(※)登記義務者とは登記によって形式的に利益を失う者、また、登記権利者とは登記によって形式的に利益を受ける者とされており、質問ケースの登記義務者とはAを、登記権利者とはBを、それぞれいいます。

【後記】

 死因贈与により取得した不動産を第三者に対抗するには、登記が必要になります(民法177条)。もし、贈与者が死因贈与契約後、第三者に当該不動産を譲渡した場合は、二重譲渡となり、第三者が先に登記を済ませると死因贈与の手続きは履行不能となります。また、仮登記をせずに贈与者が死亡したのち、相続人がこれを処分した場合も同様です。
 したがって、死因贈与契約が締結されたら、受贈者は、まず仮登記をしておくことが肝要です。

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参考条文
不動産登記令
(承諾を証する情報を記載した書面への記名押印等)
第19条  第7条第1項第五号ハ若しくは第六号の規定又はその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならない同意又は承諾を証する情報を記載した書面には、法務省令で定める場合を除き、その作成者が記名押印しなければならない。
2  前項の書面には、官庁又は公署の作成に係る場合その他法務省令で定める場合を除き、同項の規定により記名押印した者の印鑑に関する証明書を添付しなければならない。

不動産登記規則
(承諾書への記名押印等の特例)
第50条
令19条第一項の法務省令で定める場合は、同意又は承諾を証する情報を記載した書面の作成者が署名した当該書面について公証人又はこれに準ずる者の認証を受けた場合とする。

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